2012年8月14日火曜日

関電の電力不足予測は嘘つきか?

京都民報Webでの 関電「電力不足予測過大だった」 大飯3・4号機の3倍増 という記事を受けて、facebookを中心に、関西電力は嘘つきで、故意に誤って過大な需要予測を根拠に 大飯原発の再開を強行したという趣旨のコメントが複数見られました。
本当かと思って関電のサイトを見ると、けっこう詳細に各種のデータが公開されています。 これを見ると、記事の主張は正しくないと思えます。 関西電力の発表している数値を信用するのであれば、大飯原発が無くても乗りきれたというのは結果論にすぎないと、私は判断します。

まず、「405万キロワット電力供給量が増えています」という部分ですが、水力は当然ながら降雨量しだい、他社融通はさまざま調整とお願いの結果得られた増加なので(これは関電の社員から聞きました)、5月の時点では見込みにカウントできなかったはずです。
揚水発電の供給量が「223万キロワット(予測)→448万キロワット(7月6日)」と増えたのは、 電力があまり逼迫していないからこそ、であることがわかります。 関電のトップページにある「今夏の需給見通しと節電のお願いについて [PDF 190KB]」を見てみましょう。 資料の6ページによれば、 揚水発電の発電可能量が2,768万kWhで、1日に12.4時間供給が必要とすると、割り算で1時間あたりの供給量が223万kWWになるという計算です。 供給時間が短くなれば、ピークは伸ばせるということです。

需要のほうはどうでしょうか? 「3・11以前の、何も気にせずに電気を使っていた当時とは違います。」ということですが。 別の資料の2ページに、2010,2011,2012の対比で、気温と電力需要とをxyプロットしたグラフがあります。これによると、2011年の需要のピークが低いのは節電が進んだためではなく、最高気温が2010年ほどでなかったからであるということが分かります。
大阪市による2011年の節電のまとめからも、それが読み取れます。
http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000143898.html
関電資料のグラフにもあるように、2010年対比では、電力消費は約9%のダウンということです。 それでも、気温が36度を超えるようなことがあれば、需要は2900万kW程度になるということが読み取れます。

私の立場は、原発は安全面の整備を続けながらゆるやかに縮小すべき、です。 原発反対のムーブメントは市民運動としては正しいと思いますが、事実に対する公平さを欠くようでは主張も適切に伝わらないでしょう。 電力会社は最大需要を予想して突発の停電が発生しないようにする社会的な使命を帯びているわけですから、結果的に足りていることを理由に嘘つき呼ばわりするのはいかがなものかと思います。

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