2012年11月5日月曜日

甲状腺調査について

最近になってFBで見たのが、この「データ」。
http://www.facebook.com/photo.php?fbid=4843595807702&set=a.2224914382303.2133155.1231067109&type=1&theater
「これをみると福島の10歳代の子どもの甲状腺異常は、一般人の50歳代に当たる。」 とされている。 グラフで見ると、福島での検診データがまったく異常であるように見える。
9月ごろから、福島での甲状腺調査で、「のう庖」の「異常」を認めた割合が35%に上るという話題が出て、 気になっていた。 もともとネットで騒いでいた人たちの論調はだいたいこんなところ。
「18歳以下1人が甲状腺がん 福島健康調査8万人分析 (共同通信)」
http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/239.html
「福島の子供の3割に甲状腺異常」
http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/3-7795.html
「癌であるかないか以前に、福島県の子どもたちの甲状腺の状態は明らかに異常なのです!!!」

ニュートラル方向なのはこの辺り。
「福島の子 3割以上“良性”のう胞 甲状腺検査で不安は消えず」 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120518160011991
しかし、放射線による障害が出るとしてもその結果が出るまでは4年程度はかかるものだと言われ、1年で結果が出るのは早すぎるし、まして35%超の異常が出るとすればまったくの「異常」である。 なにかおかしいと思うのが普通だと思うが、ネットで騒ぐ人たちは、「それだけ深刻な問題が起きている」のだと言う。 私の周辺では、反原発方向で騒ぐ人のほうが多く、それに反対する人はわずかなのであるが、探してみると、 こういう人もいる。煽りでなくちゃんと分析がされているように見えます。
「福島の甲状腺調査 「見つかった甲状腺ガン」は原発事故の前からあった」
http://shinobuyamaneko.blog81.fc2.com/blog-entry-111.html
さて、もとのデータの「福島の10歳代の子どもの甲状腺異常は、一般人の50歳代に当たる」はデータから読める真実か?
福島県の調査データは、こちらに出ています。
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=24809
この中の「資料2 「甲状腺検査」の実施状況及び検査結果について」を見ると、生データが出ていますが、 参照されている数字は、資料の22ページ目の「H24年度検査:嚢胞について②」のデータのようです。 16ページの総数と掛けあわせて計算すると、たしかに15歳超の女性では30%という数字になるようです(13383 * 6.97% / 2832)。
対照されている「人間ドック学会誌」のデータは探せませんでしたが、たとえば、
http://www.japanthyroid.jp/commmon/20100102_07.pdf
を見ると、こうあります。
全受診者のうち,嚢胞性病変(≧3mm)は6,024名 ( 27.6%,男性23.2%,女性33.5%),充実性腫瘤(≧ 3mm)は4,978名(22.8%,男性18.1%,女性29.1%), 甲状腺サイズ異常及び内部エコーレベル異常が2,450 名(11.2%,男性7.6%,女性16.1%)に認められ,全 受診者の46.3%(男性38.1%,女性57.4%)にいずれか の所見がみられた
私の主張は、下記のとおりです。
・「なんらかの所見」と「異常」を同一視すべきではない。
・データの比較は、同一基準でなければ意味がない。
・むやみに安全というのも良くないが、根拠無く危険だというのも罪作りだと思う。
ちょっと生煮えになってしましました。

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