2024年2月25日日曜日

語順の違いによる翻訳の問題

新聞記事で、なかなか複雑な構文を見つけました。
こうした研究結果は、極右の政治指導者が先を争うように気候変動は特権階級の都市部エリートの行き過ぎた懸念だと訴えている時に、公のメッセージを世に伝える賢明な方法の好例だ。

明らかに翻訳の文章なので、原文を探してみると、こうなっています。

Both the paper and the website are examples of smart ways to get a public message across at a time when far-right leaders are racing to argue climate change is an overblown concern of privileged urban elites.

日本語の方は、最初の主語を受ける述部が文章の最後にあって、その間に文章が入れ子になった節が入っている構造になっています。単語の内容から、読み間違える心配はないものの、一読して構造を読み取るのは難しそうです。

一方、原文の英語は、その骨格が文章の最初にあって、後で修飾を加えていく形になっているので、前から順に読めるようになっています。


これは、どうすれば日本語で読みやすくなるでしょうか。
とにかく、主部と述部を近づけていくしかなさそうです。「at a time」以下の部分を前に持ってきて、もとの訳文で離れている部分を近くに置くと、だいぶ見通しがよくなります。

気候変動は特権階級の都市部エリートの行き過ぎた懸念だと、極右の政治指導者が先を争うように訴えている時に、こうした研究結果は、公のメッセージを世に伝える賢明な方法の好例だ。

 ただし、「こうした研究結果」は前の文を受けているので、それと離れてしまうという問題は残ります。


[FT]脱炭素を阻む思い込み 「対策に寄付」実は多数派

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB195Y70Z10C24A2000000/


How to do climate policy in the age of the green backlash

https://www.ft.com/content/2819b9f3-bec0-4537-b3e5-d28fcfb080f5


0 件のコメント: