2021年4月11日日曜日

Loser / 米津玄師

ふだん歌わない米津玄師ですが、先日このLoserを歌う機会があって、見るとなかなか興味深い曲でした。

まず、ラップ調の部分ですが、ここは16ビートが1つかけた15ビートがユニットになってます。
いっつもどおりのとおりひとり■こ
んな日々もはやこぉりごぉり■もう
どこにも行けやしないのに■ゆめ見
て お や す み
いつでもぼくらはこんなふうに■ぼ
んくらなよるに飽ぁき飽ぁき■また
おどりおどり出すあしたに■出会う
た め に さ よ   な ら
16分ずつ頭を食っていくことで、居心地の悪さ、あるいは焦りが表現されているのかもしれない。

歌詞の内容は、閉塞感を抱えた若者たちへの応援歌だというようなブログも見ましたが、そんなことではなく、単純に自分のことを詞にしているだけなんではないかな。

ここはどうだ楽園か?
今となっちゃもうわからない

青い顔のスーパースターが
お腹すかしては待ってる

やっとメジャーデビューを果たしたけど、どうも目指していたところと違って楽しくもない。「お腹すかして」は、それほど儲かるわけでもなく食えないということか。

今勝ち上がるためのお勉強
朗らかな表情

ヒットを出そうと思えば、ファンサービスもしないといけないし、メディアに対してニコニコしていないといけない。

デカイ自意識抱え込んではもう
磨耗 すり減って残る酸っぱい葡萄

酸っぱい葡萄はイソップ童話では、取りそこねたものを残念がるのを紛らわすための表現。

いつかは出会えるはずの
黄金の色したアイオライトを

これは、将来の希望とかそういうことではなく、ただヒット曲が欲しいということを言っているのではないか。

アイムアルーザー どうせだったら
遠吠えだっていいだろう

この遠吠えというのは、海外(アメリカ)進出のことをいっているのかな、という気がした。国内の冴えない音楽市場でくすぶっているぐらいなら、アメリカ進出してしまったほうが気が晴れるというようなことではないかという。「摩天楼」もニューヨークへの言及のようにも思えるし、「イアンもカートも」も洋楽への目線。