2016年6月6日月曜日

小保方 - 若山 対立

小保方さんが瀬戸内寂聴さんと対談したというので、話題になってからしばらく経っているという時点での話です。

小保方さんが若山さんの山梨大へのES細胞持ち出しが不正だと言っているというのを見て、関連のWeb記事を見ていると、全く対立する趣旨の記事を二つ見つけました。

STAP現象、理研で再現されていたことが発覚…若山教授、不当に実験成果物を大量持ち出し
http://biz-journal.jp/i/2016/04/post_14498_entry_2.html

「世界を巻き込んで、命まで奪って……」 初めて「小保方博士」に恨み言! 山梨大「若山教授」に黒いメール
http://www.dailyshincho.jp/article/2015/02250815/?all=1

前者は、ジャーナリストの上田眞実という人の記事であるが、この人は明確に小保方晴子のサポーター。
一方、後者は、若山さん自身からの聞き取りと、小保方さんを告発した理研の石川博士の側に立っている。
もともと盟友のはずなのに、どうしてここまで対立してしまうのかと思ってしまうほどで、両方を見比べても、小保方氏のフリーザーの中に見つかったES細胞のサンプルが、若山研から盗まれたものだという主張と、若山研の山梨大への移動における研究資料の移転の手続きが不正であったという主張とが、見事に対立しています。
どちらが本当か、ということを検証しようと思うと、当事者にしか検証できないような事実も多く、いい加減なことも言えません。

いったんはどちらが正しいかという論は措き、Webジャーナリズムというのはこの程度のもので、いわゆるマスコミにも増して、発信側の立場が強調されることがあるということを確認しておきたいと思います。

2016年3月6日日曜日

"run" は「走る」か「逃げる」か

英語の run は「走る」だと、中学校で習う。 なので、訳すときに反射的に「走る」としてしまうことが多いのだけれど、実は「逃げる」というのがけっこう根っこにあるのではないかと、思っている。 単語の run には実にいろいろな意味があって、会社を経営するとか、定期運航するとか、色がにじむとか。 Kate Bush の Aerial に収められている The Painter's Link には、こういうフレーズがある。
[The Painter:]
It's raining
What has become of my painting
All the colours are running

[The chorus:]
So all the colours run
So all the colours run
See what they've become
A wonderful sunset
前半は、絵描きが色がにじんでしまうと嘆いているところ、後半は曲調が変わって、それを見る女性が、色が生命を帯びて動き出すと喜んでいる。 OEDの定義で言うなら、それぞれ
[NO OBJECT] (Of dye or colour in fabric or paper) dissolve and spread when the fabric or paper becomes wet:
Pass or cause to pass quickly in a particular direction:
これを
ああ、色がにじんでゆく...
あっ、色が虹になっていくわ!
と訳してみたのが、我ながら上手かったので、改めて書いた。

本題はこれではなく、「逃げる」の話。
フォレスト・ガンプの映画で、学生の頃のフォレストが同級生に石を投げられるシーンで、彼女が "run!" と叫ぶのだけれど、日本語字幕は「走って!」だった。 あれは、やはり「逃げて!」の方が適切なのではないか、と思った。 この例に限らず、翻訳されると「走れ!」になっていることがしばしばあるようだ。
あるいは、Pink Floyd の Run Like Hell での Run, Run, Run, ... も。 オフィシャルでどう訳されているか調べていないけど、これも「逃げろ!」だろう。
ところが、Oxford Dictionary を見てみても、逃げるという意味の定義が見当たらない。
  Oxford Dictionary - run
見逃しているかもしれないけど。
Webster を見てみると、こちらには書いてある。
  Webster - run
  flee, retreat, escape
Oxfordの定義が不十分なのか、あるいは「逃げる」を意図的に避けているのか?